2023年6月14日水曜日

月額1万円で働かせ放題の奴隷契約…生活保護に追い込まれたフリーランスから聞く価格崩壊の末路

クラウドソーシングサイトが導いた価格崩壊で、生活を壊された人がいます。

今回、クラウドソーシングサイトで仕事を請け負った結果安い価格で搾取され、生活保護に追い込まれたというフリーランスの茂木さん(仮名)に話を聞くことができました。


フリーランスの方にも、そうでない方にも知っていただきたい話です。



引きこもりから一念発起 クラウドソーシングサイトに登録

2010年代に会社員であった茂木さんは、パワハラなどを苦に新卒入社から間もなく会社を退職しました。

その後アルバイトを始めるも指示がうまく聞けず、作業も求められるスピードで行えず悩みました。

そして仕事でのミスが原因で人間関係が悪くなり、指示役の社員から酷いいびりを受けた末に解雇されたのです。

その後根気よく別のバイトを探すも、雇われてはクビ、雇われてはクビ…という流れを何度も繰り返しました。

そしていつしか長期バイトを避け単発バイトに応募するようになりますが、茂木さんは「いじめられる」「怒鳴られる」といった不安から単発の仕事にすら恐怖心を抱くように。

ついには電車に乗れなくなり、引きこもり状態となりました。


「このままじゃいけない、でもバイトもうまくいかない…」

焦りながら数ヶ月が経過したある日、茂木さんはニュース番組の特集で知ったクラウドソーシングサイトに登録しました。



仕事を選ばず引き受けていた茂木さん

「クラウドソーシングサイトなら、自分にもできる仕事が見つかるかも」

食べるために少しでも多く収入を得ようと、茂木さんはクラウドソーシングサイトでアンケートやライティング、データ入力、撮影代行など幅広い仕事を引き受けました。


しかしどの仕事も明らかに相場を下回る価格

そんな状況でも茂木さんはめげずに仕事を受け続け、他の案件よりやや単価のマシな仕事を見つけることもありました。




月額1万円で1日20時間労働 真面目なフリーランスを襲った奴隷契約

クラウドソーシングサイトでの仕事に慣れてきた頃、茂木さんは「月額1万円」で忙しく働く状態になっていました。


クライアントにいいように使われてしまったのです。

「相場通りでない、でもクラウドソーシングサイトにしてはある程度高単価の案件」に出会った茂木さんは、そのクライアントから継続的に仕事を依頼されました。

茂木さんはクライアントの要望をじっくり聞き、且つスピーディーな納品を心掛けました。

そんな中茂木さんの納品スピードが上がってくるとクライアントは茂木さんの納品データに難癖をつけ始め、何度も納品データの修正依頼をする、業務に新たなルールを追加するなど理不尽な対応を取り始めたのです。

茂木さんが出会った中でこうしたタイプのクライアントは1人2人ではなく、あるクライアントとの契約が終わり別のクライアントの下で仕事を引き受けても同じような傾向が見られたといいます。


クライアントが理不尽な要求をしてくるたびに、茂木さんは要望に応えようと懸命に作業します。

気が付けば収入は月1万円程度、なのに1日20時間にも及んでいました。

与えられた業務を真面目にこなしていただけなのに、このような悲劇に見舞われてしまったのです。



藁にもすがる思いで新規開拓も…

力尽きる半年前のことです。

茂木さんは今までのクライアントとの契約が終了するとすぐに「月収30万円」と謳われたライティング案件のスカウトを受け取りました。

「きちんとした収入が得られるなら」と案件に応募し、テストライティングにも合格。

しかし契約後の茂木さんに与えられたのは、3000字の記事を1500円(文字単価0.5円)で書くというものでした。

さらに報酬からクラウドソーシングサイトの手数料が抜かれるので、手取りを考えれば実質の文字単価は0.3円ということになるのです。


「テーマのリストはあらかじめ与えられ、そのテーマに沿って情報収集して記事を書きます。これまでのクライアントみたいに異常な修正を言い渡されることはなかったですが、書かなきゃいけない情報量が莫大で…収集収集にかなりの時間を使い、1記事4日かけて書いていました」

これまでの経験で作業スピードは格段にアップしていたという茂木さんですが…

クライアントが変わったにもかかわらず月額1万円、20時間労働の定額働かせ放題という状況は変わらなかったのです。


ちなみにそのメディアの求人には「実力に応じて報酬を増やす」とありましたが、担当者は茂木さんの仕事に褒め言葉を並べる一方で報酬を増やすことはありませんでした。




1度は役所で追い返されるも…生活保護で再起を図る

安い報酬で時間も労働力も搾取され続けた茂木さんは、生活面の不安から極度のうつ状態となり、貯金も底をつきました。

そして悩みを相談する電話相談窓口のスタッフに「生活保護は受けていないのですか?」と言われたのをきっかけに、茂木さんは役所に出向きます。

しかし両親が存命であることや年齢が若いことなどを理由に、役所の職員に追い返されてしまいました。


そんな中茂木さんはSNSで生活保護申請のサポートをする人を知り、その人にメッセージを送り役所に同行してもらうことに。

その後生活保護を受給できるようになったのです。



生活保護を受けながら再起図る茂木さん

この時から現在まで数年間生活保護を受給している茂木さん。

役所の職員からは昔やっていたような正社員での再就職を目指すよう促されたといいますが、茂木さんはこう話します。

「自分は集団に溶け込めないと確信しているし、正社員の求人やバイトを探したところでまた振り出しに戻っちゃいます」

その理由で、茂木さんは今も生活保護を受けながらクラウドソーシングサイトで仕事を引き受け再起を図っています。



価格崩壊の温床!?クラウドソーシングサイトがクリエイターを潰す!

茂木さんは複数のクラウドソーシングサイトに登録していますが、どのサイトも価格破壊の温床になっています。

クラウドソーシングサイトは本来クリエイターとクライアントを繋げ、クリエイターの活躍の機会を増やすための存在です。

ところが異常なレベルで安価で取引される環境ができ上がり、クラウドソーシングサイトはクリエイターを潰す場といっても過言ではありません!


今回お伝えした茂木さんのようなケースはほぼ無限にあると推測できます。

才能ある真面目なクリエイターが搾取され潰される状況に歯止めがかかる日は来るのでしょうか?



☆次回の記事では、クラウドソーシングサイトでの価格崩壊が止まらない理由に迫ります!

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