前回の記事では、クラウドソーシングサイトで安価で搾取された結果生活保護に陥ってしまったフリーランスの茂木さんのエピソードをご紹介しました。
今回はクラウドソーシングサイトの価格崩壊が改善されない理由について掘り下げて参ります。
クライアント自身が貧困
クラウドソーシングサイトを経由して仕事の依頼を出すクライアントが既に貧困状態にある傾向がみられます。
貧困状態にある個人事業主や資金難の企業が利益を出すために安く多く仕事を発注するのです。
そしてクライアントが貧困状態にあることの証拠としては前回お伝えした茂木さんのケースも挙げられます。
茂木さんが抱えていたクライアントの多くは茂木さんの納品スピードが上がると修正依頼を多く出すようになりました。
恐らく茂木さんの仕事に問題があるというよりは、必要のない修正をさせることで成果物の承認を遅らせ、茂木さんへの支払いペースを落とすというクライアントの狙いがあってのことと推測できます。
結果クリエイター側としては受け取る報酬は変わらないのに、労働時間だけ増え続けるという状況ができ上がります。
クリエイターが妥協してしまう
クライアントが安い報酬額を提示し、仕方なくその価格で対応してしまうクリエイターが多いのも事実です。
クリエイターも仕事を多く受けないと生活できませんし、「この価格でやってくれないなら他の人に頼みます」と圧をかけるクライアントもいます。
また駆け出しのクリエイターは自分の請け負う仕事の相場を把握していないことが多いです。
そのため「こんなもんか」とクライアントの提示価格に疑問を抱かず仕事を引き受けてしまうケースもあります。
安い報酬で実際に仕事をしてくれるクリエイターがいるのですから、クライアントの多くは「クラウドソーシングサイトなら安く頼める」と認識しています。
クライアントが相場価格を知らない
安価で仕事を依頼するクライアントの中には利益のために意図的に安い価格で依頼する人もいます。
一方で相場価格を把握していないがために、クラウドソーシングサイト内の類似案件の(安い報酬の)求人を参考にして「このぐらいの価格でいいかな」と低価格で依頼を出してしまう人もいます。
クラウドソーシングサイト運営会社に改善の意志がない
クラウドソーシングサイトの価格崩壊に歯止めがかからない最大の原因は、クラウドソーシングサイトの運営会社に価格崩壊を改善する意志がないことにあります。
いくつかのサイトの運営会社の中には各分野の相場価格表を掲載している会社もあるのですが「ちょっと参考程度に見といてね」程度のものです。
クライアントが相場より安い価格で依頼を出しても依頼掲載の審査に引っかかることはなく、クライアントに警告が行くこともありません。
どんな価格で依頼を出すかはあくまでクライアント側の自由なので、何年経とうとクラウドソーシングサイトの価格崩壊は改善されないのです。
ちなみに前回の記事のエピソードを提供してくださった茂木さんは複数のクラウドソーシングサイトで仕事を受けていましたが、すべてのサイトで価格崩壊がみられたとのことです。
そして各サイト運営側に改善を訴えたものの、全く対応してもらえなかったといいます。
クラウドソーシングサイトの価格崩壊は経済の破壊に繋がる
クラウドソーシングサイトではウェブサイト制作やライティング、動画編集など様々な業務が受注・発注されています。
そんな中クラウドソーシングサイトであらゆる業務が安売りされていてはクリエイター側は儲からず、廃業してしまう人もいます。
小銭しか循環しない状況がはびこっていては、ゆくゆくは国の経済にも悪影響を与えるはずです。
いってしまえば労働力の安売りはこの国の未来の安売りです。
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