2017年5月1日月曜日

遺体と12年間過ごす 「おじいちゃんは生きている」

ニュースサイトで衝撃的な記事を読みました。
亡くなった男性の遺体を家族が12年間家においており、毎日みんなでお世話をしている家庭に関する記事です。
家族いわく「おじいちゃんは生きている」とか。


家族の遺体と12年間 インドネシア

インドネシア・スラウェシ島のトラジャ。
12年前、パウロ・シリンダさんという男性が亡くなりました。
パウロさんの遺体は12年間家族によって家に安置されています。
家族は毎日着替えなどのお世話をしているそうです。


「さあ、お父さん。お客様ですよ。ゆっくりお休みのところごめんなさいね。怒らないで下さいね。」
故パウロ・シリンダさんの娘のリサさんは、『BBC』の取材でスラウェシ島を訪れた記者を部屋に招き入れると父に優しく語りかけた。子供たちがパウロさんの周りではしゃぎまわると「静かにしてね。おじいちゃんが起きちゃうわよ」と声をかけ、「おじいちゃんは病気で寝ているのよ。うるさくすると怒り出すわよ」とたしなめる。
引用元: 「おじいちゃんは生きている」 亡骸と12年暮らす家族(インドネシア)


トラジャの風習「葬儀を終えるまでは生きている」

故パウロさん一家の暮らすトラジャでは、「人間は葬儀を終えるまでは生きている」という考え方をされます。
そのためきちんと身のまわりのお世話をしないと魂が怒りだすのだとか。
パウロさんの家族は「おじいちゃんは生きている」ととらえており、12年もの間お世話をしています。
身体を洗ったり着替えさせたり、タバコの箱を用意したりしています。
かたくなに葬儀を行わないのは「おじいちゃんにずっと生きていてほしい」「これからも一緒にいたい」という思いがあるのでしょう。

ちなみに遺体はホルマリン処理を施されているため、腐敗する心配はないようです。


故人の死を受け入れるプロセス

パウロさんの娘リサさんは、「父を葬る勇気がまだ出ない。ここで一緒に過ごすことで父の死の悲しみは癒される」と述べてます。
家族が亡くなった後もしばらく共に過ごすという家庭はパウロさんの家だけではありません。
まあ10年以上一緒にいるということはないでしょうけど…

日本では、葬儀を故人の死を受け入れるプロセスとしてとらえる人もいます。
葬儀を終える=本当の死ととらえられているトラジャでは、亡くなってから葬儀を行うまでの期間がお別れへの心の準備の時間なのでしょう。




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